[Guild Plugin] 社内勉強会で紹介した「一緒に成長するAI開発」

2026-08-20 hit count image

SDD Pluginを4ヶ月間使って感じた2つの限界と、それを人の組織からヒントを得て解いたGuild Pluginを社内勉強会で発表しました。その発表内容を図とともにまとめます。

generative_ai

概要

前回、4月の社内勉強会で「生成AIを使う開発プロセス」というテーマで発表をしました。人中心の開発からAI中心の開発へ移るための方法として SDD(Spec-Driven Development) を紹介し、それをベースにした SDD Plugin を共有しました。

それから4ヶ月が経ちました。SDD Pluginを使い続けながら感じた問題と、それを解決するために新しく作った Guild Plugin を、今回の勉強会であらためて発表しました。この記事はその発表内容をまとめたものです。

Guild Pluginの設計と動作をより深く扱ったシリーズが別にあります。この記事はその内容を発表の流れに沿って一本にまとめたものです。

Guild Pluginのソースコードとインストール方法は dev-yakuza/deku-claude-plugins リポジトリで確認できます。

前回の発表で紹介したSDD Plugin

前回の発表が残した宿題

4月の発表を聞いていない方もいますし、時間もかなり経っているので、まず簡単に振り返りました。SDD Pluginは、Claudeに単純にプロンプトを投げて問題を修正するのではなく、Claudeが要求分析 → 設計 → 実装 → テストという開発プロセスを踏んで開発を進めるようにする プラグインです。

そのときの発表は、こう締めくくりました。

  • コーディングの時間は確かに減った。でも 生産性が上がった感覚はなかった。
  • ドキュメント確認とレビューの時間が増えた。人のレビューを減らさないと大きくは上がらなさそう。
  • 皆さんも自分のplugin / skillを作ってみてください。

今回の発表は、そのあと4ヶ月分の話です。

SDD Pluginで解決できたこと

まずは良かった点から話しました。AIコーディングには、こういう落とし穴があります。

  • 課題をあまり分析しない状態で開発を始めてしまう
  • 設計せずにすぐ実装から入ってしまう
  • 話・コンテキストが長くなると前の話を忘れてしまう

SDD Pluginは 開発プロセスを踏ませ、各プロセスで出た成果物をGitHub issueに残す ようにして、この3つをかなりの部分まで解決してくれました。ここは実際、結構良かったなと思っています。

コードベースは成長するのにツールは成長しない

成果物は積み上がるのにツールは育たない

問題はその先でした。プラグインを使い続けると、コードベースは成長するのに プラグイン自体は最初に作ったときのまま でした。

なので、何回も同じ指摘をすることになります。「このプロジェクトではそのパターンは使いません」「このファイルを直すならあのファイルも一緒に直してください」といったものです。ところが、その指摘は その瞬間だけ残ります。 セッションが終われば消えるので、次に同じ問題が出ないようにするには、自分でプラグイン自体を修正するしかありませんでした。

セッションは分けたが役割は分けていない

セッションは分かれていたが役割は分かれていない

もう一つは構造そのものの問題でした。

コンテキストの汚染を防ぐため、開発プロセスごとにセッションを分けて 実装するようにしました。これはうまく動きました。コンテキストが1つのウィンドウに際限なく積み上がる問題は、ここで解決されます。

ところが、そうやって分けたセッションに 役割がありませんでした。 すべて一般的なAI、つまり general-purpose のまま使っていたのです。そのため専門性がなく、たった今自分が書いたものを自分でレビューするので、レビューの品質も良くありませんでした。

まとめると、SDD Pluginの限界は2つでした。

  • 成長しないツール
  • 明確な役割を持たない実行者

観点を変えて人と組織を見る

観点を変えた

最初は「プラグインをどう管理するか、どう改善するか」を考えて、その都度SDD Pluginを修正していました。でも、やっているうちに、なんか違うなと思いました。結局は自分の手作業を少し効率化しているだけだったからです。

なので、一歩下がって観点を変えてみました。人は、組織はどう動いているのか。

ソフトウェア組織の動き方を見ると、こうなっています。

  • 分業と専門の役割があります。
  • コードレビューは、当たり前に他の人に見てもらいます。
  • 成長するために振り返りをしたり、他のメンバーからフィードバックをもらったりします。
  • 新しいメンバーが入ったら、オンボーディングでこれまでの知識を共有し、ドキュメントを残します。
  • 人が必要になったら採用し、あまりないですが、合わなければ入れ替えることもあります。

このように 人や組織を真似すると、AIをもっと活用できるようになるのではないか と思って、Guild Pluginを作ることにしました。

Guild Pluginは一緒に成長するプラグイン

2つの成長

Guild Pluginは、簡単に言うと コードベースとAIエージェントが一緒に成長するプラグイン です。

ハーネス(harness) という一緒に成長する環境と、Guild という組織をリポジトリに作り、コードベースとその組織に所属するAIエージェントがお互いに影響し合いながら成長します。

基本的な使い方はこうです。

/gld init            # リポジトリ分析 → ハーネス + 創立エージェント + 標準ドキュメント(リポジトリごとに1回)
/gld dev 123         # GitHub issue #123 を最初から最後まで開発
/gld evolve          # 組織の成長

リポジトリにエージェント組織を作る

リポジトリ専用の16役割

/gld init を実行すると、そのリポジトリに合わせて16個の基本エージェント が作られます。

基本的にはリーダー、テックリード、開発者、テスター、QAが開発プロセスを踏んで開発をします。他のエージェントは リーダーが必要なときに呼び出して 開発を進めます。

たとえば認証と権限に関する課題があればセキュリティ専門のエージェントを、UI/UXに関する課題ならデザイナーエージェントを呼び出して開発を進める、という具合です。

ここが、SDD Pluginで general-purpose を呼んでいた問題を解決する部分です。匿名の汎用AIを毎回新しく呼ぶのではなく、名前を持った役割定義がファイルとしてリポジトリに残ります。

コードベースを育てる1つ目の成長

開発の流れ 変わらない背骨

Guild Pluginは、このエージェント組織を利用して、まず コードベースを成長 させます。

SDD Pluginと同じく 分析 → 設計 → 実装 → テスト → QA の開発プロセスを踏みながら、AIエージェントたちが協力して開発し、コードベースを成長させます。

進捗の状態は会話ではなくGitHub issue・PRとラベルに残るため、セッションが切れても /gld status でどこまで進んだかを確認し、/gld resume で続きから進められます。

エージェントを育てる2つ目の成長

成長エンジン 痕跡を習慣・知識・ルールへ

もう1つは 開発者、つまりエージェントを成長 させることです。

/gld evolve というスキルがあります。これを実行すると、Guild Pluginを使って開発する際にあった 人の訂正・差し戻し・検証のギャップ・繰り返される摩擦 の内容を確認して、エージェントの習慣、組織の知識、コードベースのルールを成長させます。

  • 習慣 はエージェントのファイルに書いて、エージェントの能力を上げます。
  • 知識 は組織、つまりエージェントをまたぐ情報としてエージェントたちが参考できる場所に保存し、開発する際に参考にするようにします。
  • ルール は機械的に指摘できるものを定義して、自動的に指摘されるようにします。

また 人事の機能 があります。開発をする際に、定義されているエージェント以外の専門知識が必要な場合、その専門知識に対する新しいエージェントを作ります。習慣と知識でエージェントの品質を上げますが、それでもエージェントの動きが変な場合は、そのエージェントを削除して新しいエージェントを作ります。

ツールを使う人という3つ目の軸

一つの流れで3つが同時に育つ

こうしてコードベースとエージェントを一緒に成長させているのですが、ここまで作ってみて このプラグインを使う監督者、つまり開発者も成長させる必要があるのではないか と思いました。

そこでGuild Pluginを使って開発する際に、いろいろな仕組みで、Guild Pluginを使っている開発者も成長するようにしています。

生成AIで開発するとき、AIをどう活用して効率的に開発するか は結構考えていると思います。でも これを使う開発者を成長させること はあまり考えていないのではないかと思って、こういう面白い観点も今回入れてみました。

おわりに

発表はこう締めくくりました。

SDD Pluginで開発するときにあった 成長しないツール明確な役割がないAI という問題を、Guild Pluginでは分業・エージェントの成長・チームの成長・人事の機能で解決しました。さらに、いろいろな仕組みで プラグインを使う人も成長する ようにしてみました。

Guild Pluginを開発しながら感じたことは2つです。

  • AIをうまく使うためには、人の働き方をよく観察し、理解することも大事だ。
  • AIで効率的に開発することだけではなく、AIを使う人の成長も考えなければならない。

Guild Pluginは deku-claude-plugins マーケットプレイスから使えます。より詳しい内容は 1部 · 2部 · 3部 · 4部 のシリーズで扱っています。

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